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「ユニセフ・カンボジア事務所で働く~国連若手職員の3年間」

7年前、僕はJPO(ジュニアプロフェッショナルオフィサー)として国際機関で働いていました。そのときの同期(99年度派遣の日本人JPO)の一人が、先月本を出版しました。

彼女はユニセフ・カンボジア事務所のJPOとして、3年間、識字教育と保育所に関するプロジェクトを担当。その時の体験をきちんとまとめ上げたのが、今回新刊の「ユニセフ・カンボジア事務所で働く~国連若手職員の3年間」という本です。

この本を読んでみて、感じたことは:

■カンボジアの現状が数十年前の歴史をそのまま引きずっていて、まだ痛々しい傷を残していること。そして、その前提を克服しなければならないという点が、ユニセフのすべての活動のスタート地点になっていること。考えてみれば当たり前のことかも知れませんが、僕にとっては、「ポルポト時代」「UNTAC」「前回の総選挙後の政治の安定」などはニュースを通じて知っている「点」の知識でしたが、実際に現地で国際機関が、どういう風にその歴史と関わっているかというイメージが初めて沸き、勉強不足の僕にとっては、純粋にとても勉強になりました。

■改革には時間がかかるという点。限られた任期の間には、組織やプロジェクトの枠組みの改革の進行が目に見えなくても、後任の世代にそのモーメンタムを残してあげられることは十分に可能であるということ。これはとてもしんどいことだと思います。彼女のように自分がオフィスを去った後も、その後現地のユニセフの運営がどうなっているか見守る姿勢はすばらしいと思いました。

■ 「電話やパソコン、テレビ、新聞などはないため、彼らにとっては近所の人たちとの噂話がもっとも重要な情報源なのである。そういう彼らと同じ時代を生きていることを思うとき、とても不思議な気持ちになる。」というくだり、印象的でした。自分たちとちがう境遇に置かれた人たちがいるということを知り、不思議に思い、自分に何かできないかと立ち上がることが国際協力の基本ですね。僕のように先進国ばかりで、本部の仕事を続けていていると、忘れてしまいがちな原点です。

彼女と最後に会ったのは、JPO合格後の派遣待ちのメンバーが東京で集まった時でした。その頃は、派遣先機関や国がどこになるのか、どんなポストをオファーされるのか、とみんな心配している頃だったので、一緒に飲みに行ったりすると話が尽きませんでした。その後彼女はカンボジアへ、僕はジュネーブへと、皆それぞれの機関や国へ散らばっていった訳です。

ご主人のとても暖かい理解に支えられて任期を終え、このように後に形を残すことができて、本当に有意義なJPO体験だったことでしょう。「同期」としてとても誇りに思います。出版おめでとう!

テーマ : 海外で働く
ジャンル : 就職・お仕事

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[ 総コメント数:10件 ]
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[ mickey10044 ] [2006/12/18 04:03] [ Myblog ] [削除]
Michan☆さん

本ですか、僕はまだまだ修行が足りないので、どうでしょう。。。。
国際公務員としてというよりは、以前はIT技術関連で書きたいネタは
いっぱいあり、ネット上で随分記事を公開していました。
形はともあれ、(また、レベルはともあれ)情報発信は続けていきたいですね。


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[ Michan☆ ] [2006/12/15 16:24] [削除]
さちさんへ:ご本人からMickeyさんのHPを通じてメッセージをいただけるなんて思っていなかったのでうれしい驚きです!これもMickeyさんのお陰、ありがとうございます☆昨日やっと!待ちに待ったさちさんの本が届きました!なのでこれからじっくり読んで感想を送りたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

Mickeyさん:本のコメントとご紹介をどうもありがとうございました。お陰であのあと、すぐインターネットで注文しました。Mickeyさんもそろそろ本、書いてみたくなったりしませんか?こちらも楽しみにしています。HPを通じて思うことですが、お仕事と子育ての両立を立派に、上手くやっていらっしゃるのはすてき☆です。

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[ mickey10044 ] [2006/12/15 04:12] [ Myblog ] [削除]
お、ご本人に登場して頂きました!

>さちさん

先日は本を本当に楽しく拝読しました。ありがとうございました。

ストライキ事件のお話、ほんと、めげそうになりますね。
そのエピソードの最後に、中途半端な支援はむしろ逆効果になってしまう、
というのがありましたが、印象的でした。
僕のようにフィールドと関係ない仕事(ITサービスを組織に提供する仕事)
をしていても、いつもついてまわるジレンマです。

顧客(ユーザー)最優先とばかり、効果の検証不十分で突っ走ろうと
する動きを阻止しようとすると、「お役所的」「大組織病」だとか言われて
意見を聞いてもらえなかったりとか。日々戦いです。

たくさんの読者から本の感想が届くといいですね。


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[ さち ] [2006/12/14 17:44] [削除]
少し遅くなってしまいましたが「ユニセフ・カンボジア事務所で働く~国連若手職員の3年間」をご紹介くださいまして、どうもありがとうございました!うれしいです。
コメントも興味深く読ませていただきました。
Michan☆さんのコメント、面白かったです。ボリビアでもそうなんですね!カンボジアでもかなり早いスピードで、誇張されて、流す人の主観をこめられて、うわさ話が流れていました。それによりプロジェクトが立ち行かなくなったこともありました・・・本の93ページにその内容が書いてあります(ストライキ事件)。ぜひご覧下さい。
けつこさん、ご購入くださって、どうもありがとうございます。
よろしければ感想をお知らせ下さると幸いです。ではまた。

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[ mickey10044 ] [2006/12/11 04:02] [ Myblog ] [削除]
>けつこさん

こんにちは。

機会がありましたら読んでみてください。

ところで、お子さんの体調が早く回復するといいですね。

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[ mickey10044 ] [2006/12/11 03:59] [ Myblog ] [削除]
>Michan☆ さん

時間を割いてコメントいただきありがとうございました。

あ、お知り合いでしたか。そう、彼女は今は北海道で活躍しているようですね。
是非本を読んで感想を本人に伝えてくださいね。

ボリビアでは面白い経験をされたんですね。また行きたくて、うずうずしませんか?

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[ けつこ ] [2006/12/09 00:43] [ Myblog ] [削除]
今度読んでみようと思い、さっそくAmazonのショッピングカートに入れました。
いろいろと勉強になりそうです。ありがとうございます。

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[ Michan☆ ] [2006/12/08 13:33] [削除]
最後に先日コメントをありがとうございました。こちらこそ、長野諏訪地方出身同士、今後もよろしくお願いします。私もMickeyさん目指してがんばります!!

●コメントが長くなってしまって申し訳ございませんでした・・・。(Mi)



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[ Michan☆ ] [2006/12/08 13:32] [削除]
同時に情報を選別する力(それが正しい情報なのかそうでないのか)も必要だと感じていました。でも、村役場が今なにをしているか(なにを企んでいるか)、議員の代表はこう言ってたぞ!という政治関連のニュースやスクープも同じようなルートでスピードで入ってきます。注目は人々のバトンリレーになるので、最後まで回ってくる頃にはしっかり「誇張」されて、同時にそれぞれの主観も入って伝わってくるので、その情報の信憑性によって混乱をきたすこともありました。それを見極める力が私も村人達も必要だと感じました。それを結ぶ役割をしていた(現地での自分の仕事の領域だった・・・)のですが、今から考えると、村人達に説明をして正しく理解してもらわなければいけないなど、とくに政治問題は政府や地方の行政機関に対して人々の根強い不信感があるので、いろいろと大変なときもありましたが、それなりにいい経験をさせてもらったと思います。

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[ Michan☆ ] [2006/12/08 13:32] [URL] [削除]
Mickeyさん:こんにちは。幸恵さんは同期だったのですねー。今はJICAの推進員として活躍されて、北海道で国際交流・協力関連に関心がある方々のサポートもされてご活躍の様子です。地元で講演も確かされていましたよ☆私も読んでみたいと思っていた本なのですが、Mickeyさんのコメントを読んで面白そうで勉強になりそうなので、読むことに決めました!ありがとうございました。 
 私のいたボリビアでも、近所の噂話はすごいものがありました!!いや、我々にとっては凄まじい!と感じる位でした。あれって今から考えてみると確かに彼らの情報源だったのかもしれませんね。どんなに小さなこと、たとえば、○○さんがなにをした、○○さんがこうらしいよ、ということが瞬時に、そしてしっかり誇張されて伝わってくるのが私にとって驚きだったのです!

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Author:mickey10044
男性。1999年より国連職員。

インド、ジュネーブ、ニューヨーク、ボン、ウィーンを経て、現在はイタリア・トリノの国際機関に勤務。IT部門のチーフ。PMP,CISSP。

mickey10044#hotmail.com
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